UBE/UBE株式会社

バンコク発ファッションブランド「PIPATCHARA」とUBEグループがコラボしました

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UBE Group(Thailand)は、サステナビリティや環境問題に積極的に取り組むタイのファッションブランドPIPATCHARAとバンコクで協業し、最新のコレクションプロジェクト「AQUA-R-US」を発表しました。

このコレクションでは、漁網から再生されたナイロン素材を活用し、機能性と創造性を兼ね備えた製品の開発・デザインに取り組んでいます。廃棄された漁網を高品質かつ環境に優しいファッションアイテムへと生まれ変わらせるこの革新的な取り組みは、サステナビリティへの強い想いを体現するものです。

プロジェクトの背景

このプロジェクトは、ナイロン製造を手掛けるUBE Group(Thailand)が主導し、複数のパートナーと連携して始動しました。ラヨーン工場周辺(半径5km以内)の地域コミュニティから回収された廃漁網を再生ナイロン原料へ加工し、再利用可能な素材として新たな命を吹き込むことで、循環型経済の実現に向けた具体的な取り組みを進めています。

海洋廃棄物から環境配慮型ファッションへ

海に捨てられた漁網は、海洋生物にとって深刻な影響を及ぼします。クジラ、イルカ、ウミガメ、アザラシなどが網の破片を誤って飲み込んだり、絡まってしまったりすることで、傷を負ったり命を落としてしまうケースも少なくありません。毎年64万トン以上の漁網が海に投棄・流失しており、最大600年間も海中を漂い続け、サンゴ礁を破壊する原因にもなっています。
しかし、こうした廃棄物も、美しいファッションアイテムへと生まれ変わる可能性を秘めています。PIPATCHARAは、使用済みの漁網を創造的なファッションアイテムへと再生することで、海洋廃棄物の削減と環境保護への意識向上を目指しています。

より清らかな海へ―廃棄物を希望に変える取り組み

このプロジェクトでは、ラヨーン県にあるUBE工場周辺の地域コミュニティと連携し、使用済み漁網の回収活動を行っています。回収された漁網は丁寧に選別・管理されることで、海洋への廃棄物の蓄積を防ぎ、環境への負荷を軽減しています。
今後は、地域のニーズに応じた回収・選別モデルを展開し、持続可能な再生ナイロンの循環コミュニティの構築を目指しています。コミュニティの参加を促進することで、漁網回収による収入機会を創出し、リサイクル事業者は施設整備や再生プロセスの準備を進めています。
こうした取り組みにより、透明性が高く、検証可能な回収・再生の仕組みが整備され、海洋廃棄物問題の具体的な解決につながっていきます。

漁網から再生素材へと生まれ変わるまで

漁網のリサイクルは、使用済みの網を回収することから始まります。再生可能な部分を選別・洗浄・保管した後、リサイクル工程に進みます。網は細かく裁断され、溶かして成形することで、再生ナイロンペレットが製造されます。これらのペレットは、市場や産業のニーズに応じて、さまざまな製品へと加工することができます。

再生ナイロンが広げる可能性

海に漂っていた古い漁網が、私たちの暮らしの中で使われる製品へと生まれ変わる可能性があります。再生ナイロンは、以下のようなさまざまな分野で活用されています。

UBEによる革新的なものづくり

PIPATCHARAは、廃漁網を原料とした染色可能な革新的な再生ナイロンを開発に向けて、UBEの研究開発部門と2年以上にわたり協力を続けてきました。従来の再生ナイロンでは暗い色しか得られないという技術的な課題がありましたが、UBEはナイロン製品の開発で培った豊富な知識と経験を活かし、品質の早期向上を実現。PIPATCHARAのニーズにしっかりと応えることができました。
使用済み漁網の品質を厳密に管理しながら、先進的な顔料技術を導入することで、これまで暗い色だった再生ナイロンのペレットを、使用済み漁網由来であることを保証しつつ、多彩な色合いへと変換することに成功しました。

ディスカッション

発表イベントでは、UBE Group(Thailand)社長兼CEOであるAnusara Suthikulavetが、PIPATCHARA共同創業者兼クリエイティブディレクターのPipatchara Kaeojinda氏、サステナビリティディレクターのJittrinee Kaeojinda氏とともに、本プロジェクトに込めたビジョンを語りました。

Anusara Suthikulavetメッセージ 

「今回の取り組みは、私たちがファッション業界と初めて手を組んだプロジェクトです。私たちは“真のサステナビリティ”を目指すという強い思いのもと、「2030年までに5万トンの再生プラスチックを革新・製造・流通させ、循環型経済を推進する」という目標を掲げてきました。
PIPATCHARAは優れたファッション性と環境への配慮を両立させるブランドとして際立った存在であり、私たちはその可能性と価値に大きな魅力を感じました。
UBEは、漁網の原料となるナイロンを製造する企業として、世界各国に生産拠点を持ち、循環型経済の実現と、この分野でのインスピレーションの創出に真剣に取り組んでいます。そうした想いがPIPATCHARAとの対話が始まり、このプロジェクトが誕生しました。
この協業が、真の循環型経済の第一歩となることを期待しています。廃棄された漁網を適切に回収・選別する地域コミュニティを築きながら、UBEは再生ナイロン素材に関する技術とノウハウを提供します。
PIPATCHARAとの協業を通じて、このプロジェクトを形にできたことを心から誇りに思います。ファッション業界が求める繊細な色彩を再生ナイロンで表現することは、大きな挑戦であり、決して簡単なことではありませんでした。
PIPATCHARAが再生ナイロン素材から生み出したバッグなどの美しい製品を目にし、私たちは他の製品にもこの素材を活用していきたいという意欲をさらに強くしました。これは、持続可能な循環型経済を推進する新たなスタートでもあります。

私たちが環境を意識し、守ろうとする姿勢を持たなければ、環境は私たちと共にあり続けることはできません。今、PIPATCHARAとUBEは手を取り合い、この旅はここで終わることなく、これからも続いていきます。」

お問い合わせ先

UBE株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL:03-5419-6110 E-mail:contact_pr@ube.com